今回もワープハウスについて書いていきたいと思います。
取り上げるのは Manifesto というレーベル。

Manifesto とは
マーキュリーレコードのクラブトラックリリース用子会社としてスタートしたマニフェストは、イギリスを拠点に活動していました。エディ・ゴードン、ルーク・ネヴィル、ベン・シェリル、ジャッジ・ジュールが率いるレーベルです。
1995年に立ち上げられたこのレーベルは、最初はカバーやリミックスが多かったようです。
例えば 1995年に出た「Donna Summer - I Feel Love」
同じく 1995年に出た「Josh Wink - Higher State Of Consciousness」
今の子は知らないかもしれないので一応貼っておきます。ACIDHOUSE のお手本みたいなトラック。
Josh Wink - Higher State Of Consciousness (Original Tweekin' Acid Mix)
ほかにも「Crystal Waters - Relax」「Q-Club - Tell It To My Heart」
「Sara Parker - My Love Is Deep(リミックスは Sharp Boys がやっていた)」などのハウストラックのリリースが続きます。
聴いてて気になったのがこの曲。ラテンノリがファンキーでいい曲です。
Gusto - Let's All Chant (1996)
元ネタは 1988年リリースの「Pat & Mick - Let's All Chant」
Pat & Mick - Let's All Chant
ですね。
そして 1996年。
Gusto はこの後「Disco's Revenge」というトラックをリリースするのですがそちらは自分的にはイマイチでした。
Gusto- Disco's revenge (original mix)
元ネタは 1979年の「Harvey Mason - Groovin' You [edit]」
Harvey Mason - Groovin' You
どうも元ネタの方がいい気がします。
この年に入ってから BPM も少し上がり、ワープハウスらしさが出てきます。例えばこの曲。
Hole In One • Life's Too Short (Atlantic Ocean Mix)
Youtube には 1997年リリースと書いてありますが、1996年のリリース
リミックスは Waterfall で有名な Atlantic Ocean。
「Todd Terry Feat.Martha Wash & Jocelyn Brown - Keep On Jumpin'」なんかもライセンスしていきます。
Todd Terry feat Martha Wash & Jocelyn Brown - Keep On Jumping (Rhythm Masters Thumpin' Mix)
跳ねるようなリズムが Rhythm Masters らしいリミックスです。
そして Manifest、1996年以降リリースが爆発的に増えていきます。754枚もリリースがあるレーベルなので、流石に全部取り上げるわけにはいきません。
重要なリリースだけ取り上げていきます。
Black Box - A positive vibration(Official Video)
Ride on Timeなどでも有名なBlack Boxのリリースです。
そして 1997年。
いきなり「Todd Terry - Ready For A New Day」というアルバムが発売。
「Byron Stingily - The Purist」と大物のアルバムリリースが続きます。
トランスの萌芽も出てきます。
The Space Brothers - Shine (Full Vocal 12 Mix)
Rick Simmonds と Stephen Jones が組んだトランスユニットのこの曲は UK チャートのトップ 40 にも入ります。
Loop Da Loop - Go With The Flow (Original Mix)
ひたすらファンキーでビッグビート的な曲も作っていた彼ら。
Nicolas Jean と Pierre Dresti の 2人組ですが、
ハードハウスブームが落ち着いた頃、Space Cowboy 名義で全世界に名を馳せる事になります。
Gisele Jackson - Love Commandments (Loop Da Loop vocal mix)
Gisele Jackson のリリースにも Loop Da Loop があったのでこちらも紹介。
他には Danny Tenaglia なんかもリミックスをしていました。
The Space Brothers - 'Forgiven' (I Feel Your Love) (Loop Da Loop's Hardstep House Mix)
Space Brothers 第二弾のリリース。これも Loop Da Loop がリミックスしてますね。
ちなみにオリジナルはこんな感じ。
The space brothers - forgiven
完全にトランスです。
DJ Dero - The Horn (El Tren) (Batucada'n Bass Mix)
サンバデジャネイロもびっくりのラテンハウスです。
1992年からリリースを続けてきた DJ Dero 流石の技術です。
(1997) Janice Robinson - Earthbeat [David Morales Classic Earth RMX]
正統派の歌物ハウスです。リミックスは David Morales。
なんだかキックが薄いような・・・
ここら辺からアナログで出していたトラックスの CD のシングルリリースが続きます。
「That Kid Chris」、「Blackbox」、「Byron Stingily」・・・等々・・・
Kadoc – Rock The Bells (Extended Version)
disogs のプロフィールに「Commercial house project from Spain,」と書いてある通り分かりやすくファンキーな曲になってます。
Azucena Recoveni、Daren James Bell、David Penin Montilla、Juan Carlos Molina の 4人でやっているプロジェクトです(今まで 1人だと思っていた)。
Taste Xperience - Summersault (Tall Paul Remix)
爽やかなストリングス漂、女性のゆらぐ様なボイスが入った Tall Paul のリミックスです。
Taste Xperience は Nigel Palmer、Richard Cornish、Russell Barker とのユニットとの事。
United Nations Project - United Nations Of House (Original Vocal Mix)
1997年最後のリリースは完全にトランスです。United Nations Project は Lluis Villar、Moncho Tamames のユニット。
そして 1998年に入り、更にリリースが増えていきます。
まず最初に Karen Ramirez のアルバムがリリースされます。
(日本からは聴けないようだったのでリンクは無し)
そして CLUB LOVELY の MixCD にも収録されていた
Trevor Reilly - Down With The Underground (Judge Jules Mix)
がリリースされてます。ここでは Judge Jules のリミックスを紹介。
そしてここから MixCD や 2LP のアナログがしばらくリリースされていきます。
José Padilla - Who Do You Love (Chicane Remix)
Cafe del Mar を知っている方なら Jose Padilla という DJ も知っている事でしょう。
残念ながら 2020年10月18日に亡くなられていたようです。
ここではプログレッシヴハウスの中でも大好きな Chicane のリミックスを紹介。
そしてまた CD のリリースが続きます。Manifestというレーベルはかなりマメに CD シングルをリリースしていたようで、集めるのは比較的容易かもしれません。
David Morales - Needin' U [ 1998 OFFICIAL VIDEO HD ]
ここでハウスアンセムの Needin' U が発売!Definity Records からのライセンスになるんでしょうか。
その後、Untidy Dubs の Funky Groove が Manifest にライセンスされ、しばらくライセンス作品が続きます。
Emmie More Than This Translucid Vocal
この綺麗なトランスを作った Emmie は正体不明、4トラック出しただけで音楽の世界からは身を引いてしまいます。
The Cool, Fab & Groovy Pres. Quincy Jones - Soul Bossa Nova (The Fab & Groovy Radio Edit)
ここで突然の 1962年の Quincy Jones の曲をリミックス。俗にいうビッグビートになってます。
レーベルとしてはトランス方面に向かっていたのに何故・・・
Mr Spring - Voyager 1.56 (Filter Kings Mix)
フーヴァー的なシンセが特徴的なトラックものです。作ったのは Mr. Spring。
Tim Hannigan が本名で、Mister Spring、Mister Spring The Acid King、Mr Spring、The Mighty Mr. Spring 等の名義でトラックを作っていたようです。
Todd Terry - Ready For A New Day (Rhythm Masters Thumpin Mix)
ハウス好きなら言わずとしれた Todd Terry。今回は Rhythm Masters がリミックスを手掛けました。
ここからどんな展開に持っていくかと考えられる便利なトラックもの。
Veracocha - Carte Blanche (Original Mix)
Deal Records からライセンスしたトラックなのかな?これは。正式発売は 1999年ですが、Manifest からは 1998年にアセテート盤が出ています。
作ったのは Ferry Corsten と Vincent De Moor というトランスエリートの 2人組。ピークタイムや朝方によくかかっていた気がします。
UK トランスの代表的な一曲と言ってもいいでしょう。
Yomanda - Synth & Strings (Original Mix)
このレーベルでこれだ!っていうのを買ったのはこの曲が初めてかもしれません。
まさにワープハウス。とぼけた感じのイントロから後半の盛り上げてくるシンセ。よく使わせてもらいました。
本名は Paul Kevin Masterson。北アイルランドのベルファスト出身。この曲でブレイクし、2017年までは様々なユニットで活動していたようなのですが、2017年以降はリリースがないようです。
さて、ここから 1999年。
The Space Brothers - I Still Love You (Vocal Mix)
The Space Brothers の久しぶりのシングルが出ました。女性のヴォーカル物でトランス要素は少々抑え目に作ってあるようです。
Progress Presents The Boy Wunda – Everybody (Yomanda Mix Edit)
この曲も Manifest の中で屈指の名曲だと思います。サビ前のドラムロールからの哀愁メロディは今聴いても衰えません。
ずっと持ってなかったので記事を書いている途中に偶然発見したので思わず discogs で買ってしまいました。
Loop Da Loop - Hazel [Origonal mix]
ビッグビート好きな人は知ってるかもしれませんが、この曲も Manifest からのリリースになります。
全然ワープハウスではないですが、昔 X-Tra の序盤では TOMO さんがビッグビートも流していた事があり、紹介しました。Loop Da Loop、とても好きなアーティストです。
Dina Carroll - Without Love - Tall Paul Remix
スコットランド系、アフリカ系アメリカ人のシンガーで、16歳の時にロンドンのダンス・ミュージック・レーベル、ストリートウェイブと契約。1990年代において活躍しました。
Tall Paul らしいリミックスに仕上がってます。
Dina Carroll - Say You Love Me (Roger S Soulstice Mix)
Manifest からの間髪入れず Dina Carroll の第二弾シングル。ボーカルを活かした爽やかな曲に仕上がってます。
York - The Awakening (Quake Remix)
トランスっぽくもあるけど違うような不思議なトラックです。メインとなるシンセが哀愁っぽく耳に残る曲。
The Space Brothers - Heaven Will Come (Lange Vocal Mix)
実はちょこちょこ出していた Space Brothers。
哀愁ボーカルと共に完全にトランスの音作りになっています。
Junior Sanchez feat. Dajae - B with U (Rhythm Masters Sonic Club Mix)
ニュージャージー州ベルヴィルの郊外で育った Junior Sanchez。ディスコっぽいトラックをよく出していました。
今回はそれの Rhythm Masters Mix。女性ボーカルとあいまってとても使いやすいトラックになってます。
Tuff Twins Dirty Disco Judge Jules Remix [ Acetate ]
Tuff Twins Recordings からライセンスしたトラックです。
Tuff Twins は DJ Elvira(aka Porl Young)& DJ Modelle(aka Derek McMillen)による UK ハードハウス・プロダクション・デュオ。
自分達のレーベルから DISCO っぽいトラックを出していました。
Tuff Twins Rockin' Da House Original Mix
Manifest からのリリースでは無いんですが、このトラックとかファンキー具合が最高ですね。
Que Pasa - Dream On (Olav Basoski Remix Edit)
さて本題に戻って、Manifest のトラック紹介です。今回は Olav Basoski Remix だけあってファンキーフィルターディスコになっています。
そしてこれからいよいよ 2000年です。
Byron Stingily - That´s The Way Love Is (Rhythm Masters Vocal)
Nervous Records からのライセンス物になります。男性ボーカルながら流れるストリングスと相まってとても良い曲になっています。
York - OTB (On The Beach) (Original Version)
トランスまでは行かないにしろ爽やかなメロディが特徴的なトラックです。
Dario G - Dream to me (Airscape mix) - official video 2001 - Lyrics
Airscape というトランスの旗手が作ったリミックスのため非常にトランシーなトラックになってます。朝方にかかると気持ちよさそう。
Yomanda - Sunshine (Original Mix)
なんだか前回の曲(Synth & Strings)と展開が似ていますが十分にかけられるユニークなトラックです。
Yomanda - On The Level (Original Mix)
他リリースと順番が交差しますが、引き続き YOMANDA のトラックです。シンセがトランスっぽくなっていますね。
Rank 1 - Airwave (Official Music Video)
シンセが壮大なトラックです。時代はもう完全にトランスの流れが来ていました。
Rank 1 は、1999年に Piet Bervoets と Benno De Goeij によって結成されたオランダのトランスの DJ/プロデューサー・デュオです。
Spoiled & Zigo - More & More (Vocal Mix)
ハードトランスです。Vocal Mix と書いてありますがボーカルは後半にならないと出てきません。
The Space Brothers - Shine 2000 (Signum Remix)
Shine の 2000年版です。リミックスは Signum、Translucid。Signum はオランダのトランスプロデューサーです。
York - Farewell To The Moon (En-Motion Remix)
York も完全にトランスの人になってしまいました。リミキサーの En-Motion は本名が Steven Robin Helstrip という以外、情報が何もない謎の人です。ほかに作った曲も 2曲ほどしかありません。
David Morales pres. The Face feat. Juliet Roberts - Needin' U 2001 (Main Anthem Mix)
昔ヒットした Needin' U の 2000年度版です。タイトルには 2001 と入っていますが実際のリリースは 2000年でした。
Klub Family feat Sybil - When I fall in love (Main vocal mix)
Slip'n'Slide からのライセンス物でしょうか、これは。
女性ボーカルが心地良い曲です。最近トランスに傾倒していた Manifest からこういうシングルが出るのは意外ですね。
と、ここまでで2000年のリリースは終わり。
この後はトランスとハウスのトラックを中心に 2007年ぐらいまでリリースを続け、フェードアウトというかそこでリリースがストップしています。
最初はハウスやハードハウスが多かったものの、時代の流れと共にトランスのリリースが増えて行ったレーベルでした。
discogs に書いてあるリリース数が 754件と多かったのは、誰かファンがマメにアセテート盤やプロモ盤、CD 盤や更にはカセット(!)を Discogs に書いていたからだとわかりました。
実際はそこまで滅茶苦茶に多かったわけではなかったようです。
CD のリリースも多かったので Discogs で探せば案外簡単に、安価で見つかるかと思います。
というわけで Manifest は終わり!読んで下さった皆さんありがとうございました。
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