今回は、ワープハウスというジャンル名を考案した Tony De Vit に焦点を当てて書いていきたいと思います。
最初は Tony De Vit が作ったレーベル「Tdv Records」から書いていこうかと思ったんですが、リミックスやリリースの幅があまりにも広いので時系列順に書いていきます。
ちなみに、Tony De Vit はキダーミンスター(イギリス)生まれ。地元のパブでハウスが爆発的に流行する前の 1970年代後半の頃から DJ を初めていたようです。その 3年後にはバーミンガムのプレミア・ゲイ・ハウス、「ナイチンゲール」でのレジデントを獲得。その後は日本のクラブも参考にした伝説のゲイパーティ、<TRADE>でプレイしていました。
しかし 1998年、享年 40歳、突然持病(白血病とも気管支肺炎とも言われています。)にて 1998年7月2日に亡くなります。早すぎる死でした。
デビュー曲はこの曲。初期の Tony はハイエナジーなどを中心にプレイしていたようです。
Tony De Vit / Burning Up(1994年)
ボイスサンプルは Loleatta Holloway / Love Sensation から。
Loleatta Holloway / Love Sensation
LOUD 43号のインタビューではこのように答えています。
★あなたの音楽的なルーツはハイエナジーになるんですか?
Tony「そうだね。あの頃、UKのクラブでは普通のポップ、つまりロッド・スチュアートなんかがプレイされていたんだけど、僕はアメリカのハイエナジーをプレイしていた。エネルギッシュでダンシーだったからさ。
僕にとって、今プレイしている音楽に移行していったのは自然な流れだった。ハイエナジーを 4、5年プレイして、そのあと<TRADE>のようなサウンドに移った。エナジーっていうのがキーワードなんだ。」「LOUD 43号」(1998年)
その後、Tony は自分のレーベルからのリリース、他レーベルからのリミックスを順調に重ねていきます。
その中からいくつか紹介していきます。
Tony de vit / Are you all ready(1996年)
Jump Wax からのリリース。もはや代表作と言っていいかもしれませんが、
この曲は Tony の死後、1999年に TIDY TRAX にライセンスされリリースされました。
当時としてはフーヴァー音が新鮮です。
Tony de Vit / Get Loose(Trade Mix)(1997年)
どんどんハードな音に舵を切っていきます。
Diddy - Give Me Love(Tony De Vit Remix)(1997年)
Feverpitch からリリースされていたこの曲も後ほど POSITIVA にライセンスされリリースされます。
後半のフーヴァー音がまさに TdV!
Tony De Vit - Don't Ever Stop(Club Mix)(1998年)
TdV Records からの一曲。かなり流れていたので知っている方もいるかもしれません。
The Age of Love - Tony De Vit remix
彼らしいハードなリミックスです。
Outlander - The Vamp(Tony De Vit Remix)
オールドスクールレイヴの名曲のリミックス。これはホワイト盤で出ていたのでしょうか・・・。
また、Tony は mixcd も熱心にリリースしていました。1995年から 1996年にかけて
Tony De Vit & DJ Malcolm Duffy - Trade Volume One
Tony De Vit & John Kelly - Sounds Of The House ?
Tony De Vit & Steve Thomas - Trade Volume Three
といった TRAD E 関連の mix を 2枚出しています。
Tony「<TRADE>はロンドンに数限りなくあるクラブの中にあっても一番長く続いてる土曜のクラブなんだ。
なんでそんなに長く続いてると思う?それはいつも進化しているからなんだ。スタイルや雰囲気など変化させ、いつもどのクラブよりも先のものを取り入れている。
僕自身も新しい音楽と思うものは、まず<TRADE>でプレイしてテストしてみる。<TRADE>がスタートした頃はみんなハードなテクノを欲しがっていた。
でも、徐々に状況が変化していく中、クラブも変化しなければそれが終わりって事だよね。」
★ちなみに、<TRADE>の正式なレジデント DJ は何人いるんですか?
Tony「メインルームではアラン・トンプソン、DJマルコム(ダフィ)、スティーヴ・トーマス、イアンM、ピート。ウォードマン、それに僕。
★ジョン・フレミングなんかは?
Tony「ジョン・フレミングは、例えば僕が日本に来たりしている時、かわりにやる DJ なんだ。そのほかにはグレン・ミラーなどがいる。
<TRADE>が他のロンドンのクラブと違う点はそこで、他のクラブはいつもゲストを招いて毎週違う音楽がプレイされている。だけど<TRADE>ではいつも同じレジデント DJ がプレイしている。
それが強みなんだ。だから<TRADE>に来る客は、いつも期待していた音楽を聴きに来れるんだ。」「LOUD 43号」(1998年)
Tony De Vit は 1997年、1998年の 3月と 2回 X-tra に出演するため来日しています。そのうち 1997年のプレイがそのまま収録された mixcd が 2枚組で出ています。
それを聴くと彼はハードな音だけではなくハウスから始まり、徐々にビルドアップして盛り上げる姿勢が分かります。
偶然にもプレイリストと共に音源が上がっていました。気になる人は是非聞いてみてください。
Tony De Vit / Global Underground 005: Tokyo(CD 1)
Tony De Vit / Global Underground 005: Tokyo(CD 2)
1998年来日時の Tony の「TRADE ALL TIME TOP 10」が LOUD に掲載されていたので最後にこちらを掲載して終わりたいと思います。
1. GAT DOCTORS / Pssion(TAG)
2. MARMION / SCHONEBERG(SUPERSTITION)
3. DOC SCOTT / NMS - The Surgery EP(ABSOLUTE)
4. TONY DE VIT / Burnin'Up(ICON)
5. E-TRAX / Let's Rock(DANCE ST/TRADE)
6. FELIX / Don't You Want Me(HOOJ CHOONS)
7. DYEWINTNESS / Observing The Earth(MIDTOWN)
8. COMMANDER TOM / Are Am Eye?(NOOM)
9. AGE OF LOVE / Age Of Love(REACT)
10. DJ MISJAH & TIM Access(X-TRAX)
オールドスクール物、テクノからフーヴァーものまでかなり幅広いですね。
また、2018年に TDV20 という、Tony De Vit の曲をリミックスしたコンピが出ています。
こちら、beatport や Amazon でも買えるので興味がある方は聴いてみてください。
前回も書きましたが当時(1995〜1998年)の LOUD、ワープハウス関係のフライヤー(X-tra、CLUB LOVELY、CROSS OVeR 関連)をお持ちの方はレンタルか適価をお支払いするので是非情報を募集しています・・・!!
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