ワープハウスバカ一代

2020年04月18日

第2回「Paratone」

Warp Your Body. DJイオです。
海外のレーベル、「TIDY」、もしくは「TRADE」というパーティから紹介するのが筋か悩んだのですが、今回は国内唯一のワープハウスのレーベル、「Paratone」から紹介していきたいと思います。
恐らく 1996年に設立されたこのレーベルは、Yo*C が曲を作る際、プラグラマも行っていた BUS の「Make Me Happy」「Do What You Wanna Do」を皮切りに当時ワープハウスに近かった音源をリリースしていきます。
新宿のリキッドルームにて月1 で開催されていた X-tra というパーティで特によく流れた「Yo*C And Tomo」3部作が当時有名でした。Yo*C の表記はその時々によりブレがあるのですが、ここではリリース時に準拠していきます。




まずは 1作目。





「Yo*C And Tomo Featuring Rie / Angel」





バウンシーなリズムに Rie の爽やかな歌声が乗った、1996年当時の名曲です。X-tra というパーティのレジデンド DJ、Yo-c、Tomo がリリースしたトラックです。
レコードだけでなく CD でもリリースされているので今でも手に入りやすいと思います。
(1998年にワープハウスという単語ができたので、当時のインタビューでは「ハッピーテクノ」と言われていました。通称ハッピー系なんて言葉もありました)




「特に最近、歌ものとか声がサンプルされてる(テクノ)レコードとかすごい少ないでしょ。日本でそういう曲作ってる人いないし、テクノ・クリエイターの作品を聴いてもミニマルだったりすごく堅い感じがするんです。でもぼくは歌ものすごく好きだから」(Yo*C)
「ラウドを読んでくれてる人たちや、<X-tra>へ遊びにきてくれる人たちから反響があるから「Angel」ができたと思う」(Tomo)


「LOUD 20号」(1996年)






「Yo*C and Tomo Ft. Rie - Angel : X-tra @ LIQUID LOFT, Tokyo 21/05/2011」





2011年に 1度だけ X-tra の復活があったため(X-tra 自体は 2000年に終了)、その時に撮られた動画です。盛り上がり方や雰囲気がわかると思います。




次は 2作目。





「Yo*C + Tomo Featuring Rie / Love Is Hypnotizin'」





「Yo*C+Tomo Featuring Rie / Love Is Hypnotizin'」こちらも前作同様 Rie がゲストボーカルとして出演してます。1997年のリリースです。
こちらも爽やかでポップな曲になっています。ピアノが入って来る時の哀愁感もたまりません。こちらもレコードと CD、どちらのリリースがあったため入手は比較的容易です。
Hypnotizin の意味がわからず今になってようやく調べたんですが、「催眠術をかける」みたいな意味らしいです。Josh Wink も似たような曲名でリリースしてましたね。
個人的には 4曲目の DJ Shinkawa'ssss ReMix も好きでブレイクビーツありピアノブレイクあり、今かけても違和感ない曲かもしれません。




そして 3作目。




1997年リリース。こちらは聞き覚えがある方が多いと思います。後ほど"HUH"というユニットとして日本語歌詞化したものが大ヒットしたホラー映画「リング」のエンディングテーマソングになったからです。
両方を聞き比べてみましょう。





原曲「Yo-C+Tomo Featuring Rie / Heaven (X-tra Mix)」






「リング」テーマ曲「HIIH − feels like`HEAVEN'” Live (Ringu OST)」





この「Heaven」の CD のリミックス欄が中々に豪華でして。Yo-C が個人のプロダクションとして初リミックスした「Yo-C's Breakbeats Experience」、Tony De Vit が X-tra に来日した時にインスパイアされて Tomo が作った曲「Hell」。
そして前作、「Love Is Hypnotizin'」の Nao's Lovely Explosion。要は Nao nakamura のリミックスです。この CD だけは有名な事もあり Amazon でもぼったくり金額で出品されていたので、手元に置いて聴きたい場合は中古で地道に探すしかありません・・・。





「Heaven (Yo-C's Breakbeats Experience)」






「Hell / TDV Experience」






「Heaven / Love Is Hyphnotizin' (Nao`s Lovely Explosion)」





そして、3部作の合間にも 1997年に Paratone からは重要なトラックがリリースされていました。





「DJ Shinkawa / Circuit On The Moon (full)」です。
ジャケのこのキャラはなんとも言えなく「ニョロニョロ」と当時呼んでいた記憶があります。




DJ Shinkawa が好む硬めのキックとシンプルなメロディの前半に対して、後半の哀愁漂うピアノの展開でパーティの終盤にかかる事も多く、実際 X-tra の最多ゲストでもあった彼は良くこのトラックを流していました。Shinkawa がレジデントであった CROSS OVeR でも同様だったかと思います。(こっちはあまり遊びに行った事が無かったので憶測ですが・・・)
1996年にリリースされた StrikeのInspiration(パーティの終盤になると流れたアンセム)を意識したピアノブレイクといい、最後に一旦音が止まったと思わせて再開するのも同じ展開ですね。トラックも堂々の 10分越え。個人的に許可を取ってリミックスを作らせてもらったぐらいの好きなレコードでした。A面の Paragon も個人的に好きなトラックです。

そして TOMO が「XF」という名義で「XF / Future?」というミニアルバム(?)のリリースを行います。





「XF / FUTURE?」より 2曲目「White Light, White Night, White Out」





時を経て 1998年。
勢いづいた Paratone は Paratone Limited、というサブレーベルも作り、Yo-C は「Sleeping Back EP」、「Yo-C+B.U.S Featuring Kaori / Beat Per Love」をリリース。





「YO-C / I Re-Feel The Sounds」(Sleeping Back EP の一曲目)






「BEAT PER LOVE / YO-C+B.U.S. Featuring Kaori」




「YO-C+B.U.S. Featuring Kaori / Beat Per Love」(ボーカリストの Kaori は YO-C の実の妹)、度々リリース協力している B.U.S. はプログラミング担当。
後半の「とっても速くてダンスできない」と突然の日本語フレーズも印象的です。




Beat Per Love の元ネタはこちらですね。




「T-99 / Anasthasia 1991」





Tomo は GIANT TOMO という名義(背が高かった Tall Paul を意識して付けたらしい)で、「Giant Tomo / Feeva La Revolution」(シングル)、「Giant Tomo / G.I Tomo's Secret Weapon」(アルバム)というリリースを行います。
お気づきの方はいるかわかりませんが、この連載の冒頭の一言もそのアルバムの 1曲「Warp Your Body」から取っています。

その代表曲がこちら。





「Giant Tomo / Feeva La Revolution」





記憶によると Tomo はインタビューで声ネタはサンプリング CD から取ったと言ってました。

同ネタで





「Dragon Ash / Viva la Revolution」






などがあります。

「G.I Tomo's Secret Weapon」からも一曲。





「Giant Tomo / Turntable & A Piece Of Vinyl Speaking」






この曲が好きで BPM 150 越えと、ちと速いんですが、個人的によくかけていました。

1998年、その次の Paratone のリリースは、突然の HAPPY HARDCORE!! 現在手元にはインド出身の美人姉妹ユニット!としか情報が無く、当時の資料を調べればわかるのかもしれませんが残念ながら手元にありません・・・。
もし当時(1995〜1998年)の LOUD、ワープハウス関係のフライヤーをお持ちの方はレンタルか適価をお支払いするので是非情報を募集しています・・・!!





「PAM&PAT / LOVE,LOVE,LOVE」





キックが少し薄いのを除けば立派にハコでもかけられる甘めのボーカル曲です。





「Pam&Pat / Love, Love, Love (Is Truly In My Heart)(Xtra Club Mix)」





もちろんワープハウスなリミックスもありまして、しっかりとクラブで通用する曲になっています。
しかし PAM&PAT はこの CD とレコードを出して以来音沙汰が無く、謎のユニットと化しています。

その後、1999年に入り、Paratone はファッションブランド、キャンディストリッパーと手を組み、「Candy Warp House」というコンピのリリースを行いました。1999年の LOUD 54号には DaddyCool Label 第一弾と銘打ってありますが、実際はこれ以降 DaddyCool のリリースとしては Shinkawa のアルバム以外殆どありませんでした。





「GIANT TOMO featuring CAMILLA ADEBISI / Rithum Doctor」





「Candy Warp House」は国内のワープハウス系の DJ、トラックメイカーを集めて作られた当時最先端のコンピでした。リリースは 1999年5月。
ワープハウスの Mix をリリースする事になる LOUD の編集長、DJ19 の処女作、現在名古屋レコードショップ、「Freestyle」を行っている NAKAHARA 氏の曲も入っています。


01. Giant Tomo Featuring Camilla Adebisi / Rithum Doctor
02. HIIH / Feels Like "Heaven" (Tomo's Dubplate Mix)
03. B.U.S. / Barricades Of Mushroom
04. DJ19 / Body Free (C’mon)
05. AKI / Craps Harmonythm
06. YO-C+B.U.S.Featuring Kaori / Beat Per Love
07. DJ Shinkawa / Kitchen Dancer
08. Nakahara / My Name Is Disco
09. YO-C + B.U.S Featuring Kaori / Serene Smile
10. B.U.S./ Don Dis Me


1999年には Paratone から最後のミニ(?)アルバムが発売されます。DJ Shinkawa の「CROSS」と「OVER」と 2枚に別れてリリースされました。discogs を見てもそれぞれのリリースが Paratone だったり DaddyCool だったりするので手元に CD が無い私としては詳細が不明で確認できませんでした。

目玉は「CROSS」にも「OVER」にも入っている「Res Q Me」。Richard Traviss の原曲はオネエハウスやゲイクラブでも人気の曲で、Nao nakamura、木村コウなども良くプレイしていたようです。
その曲を今回 Shinkawa がカバーしたという事で、より現代(1999年)風に。





「OVER」より。「DJ Shinkawa / Res Q Me (Come And Rescue Me)(12 Mix)」
優しくも力強いボーカルとピアノの音が印象的です。






こちらが原曲になります。1995年リリース。
「Richard Traviss - Come And Rescue Me」





調べていた所「Res Q Me」が 17年振りにリメイクされ、「Res Q Me 2017」として売っているようです。(リリースは ALPHA ONE より)
iFLYER: DJ Shinkawa & Tarot feat. Gary Adkins ‘Res Q Me 2017’がリリース!

そして 2000年代になるとトランスが世界的に流行り始め、それと共に UK ハードハウス、つまりはワープハウスもリリースが比較的減っていきます。X-tra でも勿論ある程度トランスは流れていましたが、2000年6月24日に終了。Tomo は終了した理由について「X-tra が下降線になったからじゃなくて、ドアポリシーが変わった問題で、運営側と意見が合わなくなって、このままではヴァイブスを維持できないと判断したからなんだ」と語っています。(「X-tra 復活記念 Yo-C+Tomo対談」より
それと共に Paratone はリリースが無くなり、日本唯一のワープハウスレーベルも幕を閉じます。

今回の記事で日本のワープハウスがどういう音だったのか想像できた方もいますでしょうか。Paratone だけではなく、1995年から 2000年の間の日本の MixCD などのリリースでもかなりの数を占めるので、今後それらも紹介していけたらなと思います(勿論海外も!)。

本文中にも書きましたが当時(1995〜1998年)の LOUD、ワープハウス関係のフライヤーをお持ちの方はレンタルか適価をお支払いするので是非情報を募集しています・・・!!




資料協力:Ken Plus Ichiro(aka Nish)氏



posted by DJイオ at 11:00| Comment(1) | 第1回〜第25回
この記事へのコメント
懐かしすぎて涙がちょちょぎれそうになったので思わず書き込んでしまいました。circuit〜のピアノフレーズはshinkawaがよくかけていた TimoMassのfinal excessかな?と思ってます。
Posted by tei-g at 2020年10月26日 20:36
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